「最近、この辺りは標的が少ねぇ。どっか他所で暴れるか。」「今なんてどこ行ったって、美味い所なんて無ぇじゃろ。」(やべぇ。やべぇ。ここも賊がおるのか!)Gの身体を疲労と絶望感とHKUE DSEみが支配し始める。這うように、洞窟から遠ざかるGの脳裏に一つの言葉が過ぎった。(宿屋のおっさんが、山伏が、どうとか言ってたな。何もせんで殺されるよりマシだ。)Gは必死で、まだある荷物を中の漁った。(くそっ。くそっ。こんなことなら大人しく隆行に付いていきゃ良かった。)後悔ばかりが脳裏を過ぎる。(あった。山伏の服だ。)これは、もう運が良かったとした言いようが無いであろう。この頃の山伏は、世間、特に下層からの評価が非常に良かった。戦国時代、虐げられる弱い者達は、医者にかかる事も出来ず、安定した生活もおくれず、希望を抱く事も無く、彷徨うように生きていた。そんな彼らの味方だったのが、山伏である。