「実はその者を、今日は呼び出しておる。中に入れる許可をくださらぬか、総帝」実際に見た方が判断をし易いだろうということだろう。総帝──サキカが承諾すると、HKUE DSE 學生 地帝は椅子から腰をあげ、扉へと歩み寄る。観音開きのそれの片方をゆっくりと開けた。──サキカは思わず、身体を硬直させた。八帝会議を行うここは、完全に外と切り離された空間であり、魔法でも使わない限りは外の様子は全くわからない。無論、魔力や気配といったものも全て遮断されており、扉が開けられた途端に感知できるようになった扉の外に立つ人物の魔力に、サキカは驚愕したのだ。それは、幼い頃から親しんだ人物の魔力。母親代わりとして、長年、自分を育ててくれたあの女性の────。地帝が、扉の外に立つ人物に手招きした。そして、入ってきた人物は────神秘的な金の瞳の、麗しい女性。挑発的な真っ赤な唇が、妖艶さを引き立てている。いつもは真っ直ぐな金髪が、今日は気分からか緩いウェーブを描いていて、胸前に垂らされた髪が胸部の豊かさをよりはっきりと示していた。年齢は読めない。少なくとも、サキカが出会ったときから、二十代に見える容姿に変化は見られない。「初めまして、かしら? 私はギルド“月の光”のマスターのステラ・メイリーよ。ギルドランクはまだSSだけれど、三日後にランク上げの試験を受けることになっているわ。帝になれるかはそれによるわね」──ギルド“月の光”マスター、二つ名“氷の女王”。サキカの母親代わりをつとめた人物であり、年齢不詳と呼ばれている艶やかな女性であり、世界中の民から愛され信頼されている逞しい戦乙女とも呼ばれている、ステラ・メイリーであった。.