しかし、直後に顔を綻ばせた。「はい、宜しくお願いしますレイト。わたくしのことは冬也とお呼びください」「えぇと冬也様?」「呼び捨てでお願いします」HKUE DSE 畢業付けをしたレイトに、間髪入れず言い返す冬也。その表情は、怒っているわけではなく実に楽しげだ。「と、冬也?」「はい」漸く自分の思う通りに呼んでもらえた冬也は、嬉しそうだった。「……じゃあ、着物選ぼうか」「ああ、忘れるところだった」「おう!」サキカのオルス語に、冬也はジパング語で答え、レイトは目を輝かせて頷いた。――選ぶのも大変だったが、そのあとの方が大変だったかもしれない。男女別の更衣室代わりの部屋に案内され、着物に着替えたのだが、まともに着物を着れたのはサキカとガイアだけだったのだ。サキカは幼少期にこちらに住んでいたためであったが、ガイアは文化交流の一環として何度かこちらに足を運んで着物の着付けをされているうちに、着方を覚えたのだと言っていた。この状況に仕方なく襖の向こう側に控えていた侍女を招き入れた。ついでにサキカとガイアが部屋の外へと侍女たちと入れ代わりで出ていく。「懐かしいな、咲夜の着物姿。というよりかさっきまでの制服姿の方が違和感があった」檜垣文の柄の灰色の着物に黒い帯を締めたサキカを見て、冬也は懐かしげに目を細めた。.